投資初心者が知識0から始めるNISAで投資!金融機関の選び方、積立額の決め方や投資先の選び方まですべて解説
NISAに興味はあるけど、金融機関のHPを見ても難しい言葉だらけで途中で挫折しそう、という方が多いですよね。
ここではそういった、金融用語に慣れていない超初心者向けにNISAの仕組みや用語をわかりやすく解説しながら、実際にNISA口座を開設して、投資信託の初めての買付注文までできるようにNISAで投資信託デビューするまでのステップをまとめました。
NISA口座で実際に金融商品を買うまでの具体的なステップは
1、NISA口座を開く金融機関を決める
2、自分が投資する金額を決める
3、投資先を決める
4、実際に買付注文を出す
です。1日で全て終わるわけではなく、1の口座開設後、金融機関からログインパスワードの記載された書類が自宅に届くまで1週間~10日かかるので、2と3はその間にまた改めて記事を読みながら決めればOKです!
まだNISA口座を開設していない方は、まずは1のNISA口座を開く金融機関を決める、ところまでやってみましょう!
すでにNISA口座を開設済みの方は、2から先のステップをお読みください。
NISA(少額投資非課税制度)とは
NISA(ニーサ)は金融商品を買うことができる口座の名前で、NISA口座から注文した投資信託や株式が値上がりをした場合、その値上がり益への課税が非課税になる仕組みです。
証券会社ではNISA口座とは別に特定口座も同時に開くことができますが、特定口座から注文した投資信託や株式が値上がりした場合には、その値上がり益に対して課税がされるという違いがあります。
なので、資産を増やすことを目的に投資信託などに投資をしようと思ったら、まずはNISA口座を使って、投資信託などに投資をするのが税金面で非常に有利になります。
具体的な数字で見てみると、旧つみたてNISA時代から積み立ててきて、投資元本は約600万円に対し、運用益は+1,721,589円あります。
これをもし、課税がされる特定口座で購入していた場合、税金として349,740円が利益から差し引かれることになりますが、NISA口座で購入をしているので非課税になるのです。
つまり、利益全額を受け取ることができるのがNISA口座で投資をする最大のメリットです。
NISAで選べる投資対象3つ
NISA口座の中には、つみたて投資枠と成長投資枠の2つがあり、どちらも使うことができます。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円投資をすることができますが、投資初心者の方は、最初から360万円も投資をしようと無理をしすぎずに、まず、つみたて投資枠で少額ずつ投資信託に投資をすることからスタートすることをおすすめします。
その理由を詳しく説明します。
NISA口座を通じて投資をすることができる金融商品は投資信託、株式、ETFで、このうち、投資信託のみ、どちらの枠でも投資をすることができます。
株式とETFは成長投資枠でしか購入できないので、投資信託に投資をするなら先につみたて投資枠から使っていきましょう。
投資信託
なぜ、初心者の投資スタートに投資信託を推すのかというと、投資信託は投資信託運用会社で働く運用のプロの人たちにお金を預けることで、プロの知見でわたしたちの資産を運用してもらうことができる金融商品だからです。
最初に積み立ての設定だけしてしまえば、あとはプロにお任せしてほったらかしにできるので、忙しい人でも、知識のない人でも手軽にできる金融商品としてとても人気があります。
例えば、自分自身でどこの上場企業に投資をしようか考えようとしたら、会社の決算書を読みこなせる知識やチャートを分析できるスキル、世界の金融経済政策などの高度な情報収集をしたりする情報網や情報料が必要になるので、投資のハードルはとても高くなりますね。
投資信託運用会社の人たちは、上場企業のトップに直接コンタクトをとって、トップから直接経営に関する情報を得られるので、わたしたち個人投資家では情報力は敵いません。
でも、投資信託に投資をすれば、運用のプロの人たちが私たちに変わって、数千社もある上場企業に直接訪問して肌感覚でも現場情報を得ていたり、企業の決算書を分析してくれたり、チャートを分析して最適な売買判断をしてくれたり、英語で書かれた海外の経済レポートなども読み込んで、わたしたちの資産が増えることを目指して預かった資産を運用してくれるのです。
つまり、投資信託はつみたて投資の設定をしてしまえば、あとはプロにお任せできる一番楽ちんな投資方法なんですね。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
iFree 日経225インデックス
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
例えば、下2つに並ぶ日経225インデックスや国内株式(日経平均)という銘柄は、日本を代表する有名大企業225社にプロが分散投資をしてくれる投資信託です。
もしこの投資信託にあなたが1万円を投資したら、その1万円が投資信託運用会社の人たちの投資判断によって、トヨタやソフトバンク、ANAやニッスイ、三菱UFJ銀行などの日本企業225社に分散投資され、225社の平均株価が上昇すれば、あなたの資産も増えることになります。
逆に、リーマンショックやコロナショックの時のように経済環境が悪くなることもあります。
そういった時には、世の中の投資家たちはとりあえず今は株式を手放しておこうと持ち株を売る動きが強くなるので、投資信託の価値も下げやすくなります。
でも、そういった時期に投資信託運用会社の人たちは、次の景気回復期で売上が伸びる企業を分析し、暴落して超割安になっているバーゲン価格の優良株を買い集めてくれるので、事態が落ち着いて、再び個人投資家が優良企業の株を買い戻し始めると株価はまた回復し、大きく成長していきます。
これはコロナショックによる日経平均株価の暴落と、その後の動きです。
2020年に突然コロナの発生が報道され、連日、中国から世界各国に広まっていく様子から投資家の不安がピークに達し、米国をはじめ世界各国の株価大暴落が発生しました。
ですが、その暴落期間中、わたしたちの資産を預かる投資信託運用会社の人たちはとても冷静で、むしろ優良株もすべて軒並みバーゲン価格になっている今がチャンス!と考え、コロナ禍で必要とされる企業はどこかを見極めていました。
2020年5月に発売された週刊エコノミストに
投資信託運用会社の中では、コロナ禍で伸びる企業
として、どういったところに注目をして暴落時に株を
買っていったのか?という各社社長のインタビュー
記事が掲載されていて、とても参考になります!
このインタビュー記事を読むと、次また暴落が来ても
今運用会社の人たちがいい銘柄をバーゲン価格で
買ってくれているから信じて待とう!
と考えられるようになりますよ!
現在でもデジタル版で読むことができるので
ぜひ読んでみてください。
>>週刊エコノミスト 5/19号 電子版
このように、投資信託は私たちに代わって、投資のプロの人たちがすべての情報の収集・分析や投資判断を行ってくれるので、暴落時したとしても、景気や企業業績の回復を安心して待つことができます。
だから、投資信託は投資知識がほとんどない人でも一度投資をしたら、あとは投資信託運用会社のプロの人たちを信じて託しておけばいい金融商品だから投資初心者にも人気なのです。
株式
成長投資枠で投資をすることができる株式は、個別株ともいい、日本企業だけでなく、ドル建てで米国企業の株式にも投資をすることができます。
投資信託に比べると、自分自身で銘柄を選ぶために企業について事業内容や売り上げシェアなどを調べ、決算書データを分析したり、チャートを分析できるスキルが必要になるため、投資初心者には少しハードルの高い金融商品です。
せっかく、利益が非課税になるNISA口座で株式を買っても、銘柄選びを間違えてしまったら株価がどんどん下がって損失を抱えたままになってしまうリスクもあります。
実際に旧NISAで株を買った人たちの中には、買った株が5年たってもマイナスのままで非課税口座で買った意味がなかった、という失敗事例も少なくありませんでした。
有名な企業の株はそのうち上がるから売らずに持っていればいい
という意見もありますが、その『そのうち』がいつになるかわからないのに、資産がマイナスのまま何年も株を持ち続けることになるのは、特に投資初心者にはつらいし、耐え続けられる人ばかりではないと思います。
例えば、女性に人気の化粧品メーカー(4911)資生堂はピークだった2019年10月から現在は60%も株価が下がってしまっています。
高値で買ってしまっている場合、4年以上ずっとマイナスになっていますね。
家電メーカーで有名な(6752)パナソニックも、2015年5月の高値をずっと超えることができていません。もし、2015年に1800円付近で買ってしまっていた場合、もう9年も経つのに結局資産を増やすことはできなかったことになります。
投資初心者が、9年も資産がマイナスになっている状況に耐えられるでしょうか?
特に、2024年は日経平均株価が史上最高値を更新し、他の企業の株価はどんどん上がっていっているのに、自分の持っている株だけ上がっていなかったらショックが大きくないですか?
こんなことなら、最初から投資信託を買ってプロに任せて、日経225社に分散投資をしておいてもらえばよかった、と後悔するはずです。
だから、投資初心者はまずは投資信託から始めるのがおすすめなのです。
投資信託で投資がどういうものか慣れていきながら、株式投資の勉強もして、決算書やチャートの意味が分かるようになってきたら個別株にも挑戦してみるといいですよ。
個別株ならまずS株(ミニ株)からがおすすめ
個別株は今は1株から投資ができる時代です。
株価はだいたい1株=数百円~数万円なので、これ!と決めた銘柄に毎月数千円ずつ積み立て投資をする、という方法もあります。
銘柄選びの勉強をしたら、1株投資で株式投資デビューをぜひしてみてください!
【7733】オリンパス
【2914】JT(日本たばこ産業)
【9433】KDDI
【8306】三菱UFJ銀行
【4661】オリエンタルランド
【8058】三菱商事
ETF(上場投資信託)
ETFは日本語で上場投資信託といい、中身はプロが運用してくれる投資信託とほぼ同じ仕組みになっています。
例えば、(1655)iシェアーズS&P500米国株ETF は、投資先がS&P500なので、投資信託のところで紹介したeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)や、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドと同じく、AppleやIMB、Netflix、MacDonaldなどの米国企業500社に分散投資をし、ほぼどちらも似た値動きをするので、投資信託とETFどちらに投資をしても資産の増え方に大きな差は生まれません。
投資信託とETFの違い
国内の運用会社が組成したETFは、円で投資をすることができますが、自動積立機能がありません。そのため、毎月自分で手動で注文を出す必要があるため、NISAの投資先としてはあまり投資している人を見かけません。
手動でETFを買うくらいなら、自動で投資信託に投資をした方が楽ですもんね!
それに対し、米国の運用会社が組成したETFであれば自動積立機能があるので、最初に積立設定をしておけば、後は投資信託と同じように自動的に投資資産が積みあがっていきます。
また、米国ETFは、ドル建てで投資をすることになるので、円資産だけではなく、ドル資産を持ちたい投資家に人気です。
配当金の面でも違いがあります。
ETFは株とも似た金融商品で、その特徴の一つが配当金をもらえる点です。
国内ETFは年0.数%~2%程度の配当を年に2回に分けて出していますが、米国ETFはだいたい年3~5%ほどの配当金を年に4回、あるいは毎月に分けて出す銘柄もあります。そのため高配当を目当てに米国ETFに投資する投資家もいます。
わたしも実際そのひとりです。
投資信託には、配当金ではなく分配金というものがありますが、これは投資信託の価値が下がってしまう1つの要因となっているので、分配金が出る投資信託は好ましくありません。
実際、金融庁が選んだつみたて投資枠の対象銘柄からも毎月分配金を出す投資信託は除外されています。
配当金目的の投資であれば、投資信託よりも株式やETFを選択しましょう。
高配当を出してくれることで人気な米国ETFですが、1点だけデメリットがあります。
米国ETFは、米国の運用会社が組成している商品なのでNISA口座で買ったとしても、米国の外国税10%が必ず課税されます。
NISAという制度は日本の税制であって、米国の税制で決まっている課税を拒むことはできないからです。
なので、絶対に税金を1円たりとも利益から差し引かれたくない!
でも自動積立はしたい!ということであれば、成長投資枠も投資信託に投資をするのが一番楽で、デメリットも特にありません。
VT
VTI
VOO
SPYD
VYM
NISAは投資対象が投資信託、株式、ETFから選べますが、投資初心者はまずはプロが運用をしてくれる投資信託から始めましょう。
ほかの資産運用手段との比較
よく預貯金や保険は、NISA口座で購入できる投資信託と比較して悩まれやすいので、違いやどちらを選択すればよいのか解説します。
投資信託と預貯金
まずは、預金だけでいいのか、投資信託もした方がいいのか悩みますよね。
投資をする目的は人それぞれですが、老後資金や子供の教育資金のことを考えたときに、預貯金だけで賄えるか不安だからと、投資信託などでも運用をする人は多いです。
例えば、老後資産で考えてみましょう。
国による家計調査のデータ(データソース:統計で見る日本>家計調査)を見てみると、世帯主が60歳以上の無職世帯の月の収支は平均約20万円で、そのうち16.5万円が社会保障給付、つまり年金となっています。
それに対して、月の支出は平均27万円と、収支は7万円の赤字となっていることがわかります。
仮に、60歳で退職して90歳まで生きると仮定すると
7万円 × 12か月 × 30年 = 2,520万円
これが老後2000万円問題の根拠となった数字です。
年金だけでは、約2000万円足りない人が今現在実際にいるからこそ、現役世代は今のうちから年金だけでなく自助努力で2000万円貯めてね!
というのが金融庁の発表した見解です。
なので、老後資産を考える際には、約2000万円を自助努力でどう準備するか?と考える必要があります。
預貯金で老後に備えられるか
今現在、銀行預金金利で最も高いのは、あおぞら銀行の普通預金金利0.2%です。
仮に、今現在30歳の人が60歳まで毎月積み立てをして2000万円貯めようと思ったらいくらになるかを野村証券のみらい電卓を使って試算してみると月5.4万円という結果が出ました。
老後まで30年以上ある、目標金額は2000万円でいい、月5.4万円は老後資金のためにずっと貯められる(途中で絶対引き出さない)という条件がすべて合う方は、預貯金だけで備えていけばいいでしょう。
でも、老後まで30年もない、月5.4万円も老後のためだけに貯める余裕はない、という方は、NISA口座で投資信託に投資をしたほうがいいですね。
低金利の預貯金で貯めるだけでは無理とわかっているなら、投資も選択肢に入れなければ未来の可能性を広げることはできません。
では、投資信託であれば、月の負担はどれほど軽減されるでしょうか?
金融庁のHPにある【はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック】の中で、インデックス型投資信託の保有期間が20年になると、運用成績はおおよそ2~8%に収れんすることを教えてくれています。(この図は3ページに載っています)
では、先ほどの預貯金と同じく投資信託を積立運用すると月どれくらい積み立てればよいのかを、目標額2000万円、積立期間30年、利率を2~8%の間をとって5%で試算してみます。
すると、投資信託であれば預貯金の半分となる月2.5万円で目標金額を貯められる可能性があることが試算結果からわかりました。
投資信託は経済環境によっては、マイナスとなる可能性もありますが、マイナス期間は預貯金を引き出して使い、投資信託がプラスになればそこから定期売却して使うというように預貯金と併用すればOKです。
なので、預貯金だけでは最低2000万円を貯めることが難しい方は、投資信託も選択肢として取り入れたほうが、将来お金に困ってしまうリスクを軽減させることができますよ。
投資信託と学資保険
学資保険を契約するか、投資信託で増やすべきか悩む方も多いですね。
学資保険は、もし万が一、保険契約者が高度障害になったり、亡くなった場合には以降の保険料の払込が免除されるプランもあることが特徴です。(払込免除がないプランもあるので、契約時によく確認しましょう)
払込が免除になった場合にも学資金は予定通り受け取ることができるので、親に万が一のことがあったときに備えて、学資保険を契約しておくことで将来の安心を得ることができます。
ただ、学資保険では投資信託のように大きく増やす、ということはできないため、学資保険とは別に投資信託での運用も併用するのがおすすめです。
学資保険は保険金として200~300万円を設定し、月々1万円~2万円程度の保険料を支払うケースが一般的です。ですがこの200~300万円というのはだいたい学費に充てられるため、お子さんが一人暮らしをすることになった場合の仕送り代やサークル活動費、留学を叶えてあげるための費用や成人式代、就活関係費用などは想定されていません。
なので、実際には学資保険以外でもお金を備えておくことが大切です。
その時に心強い選択肢となってくれるのが投資信託です。
例えば、お子さんが今0歳で、15歳までに月1.5万円ずつ投資信託に投資をし、その投資信託が年利5%程度で運用されるようであれば、将来受け取れる金額は約400万円になります。
学資保険とは別に投資信託でも備えてあれば、学費以外の費用を賄う余裕も生まれますね。
NISAは18歳以上の人なら年間360万円を運用することができるので、両親2人の口座を活用すれば年間720万円を非課税で運用することができます。
その枠の一部をお子さんのための教育費として投資信託で運用するのはとても良い選択肢です。
ぜひ学資と投資信託は併用して活用していきましょう。
投資信託と変額(個人年金)保険
最後に、投資信託と変額保険はどちらがいいのか解説します。
結論から言うと、各手数料や商品ラインナップ、税金面などから運用して増やすことが目的であればNISA口座で投資信託に投資をした方がいいです。
元本の積み上がり方の違い
まず、証券会社や銀行で投資できる投資信託は、販売手数料無料の商品を選択すれば、積立設定した金額全額が投資されます。
それに対して変額保険は、保険会社に保険料を払い込むと、まずそこから保険会社の事業運営や保険管理などに必要な手数料が差し引かれます。そして、残額が保険会社を通じて投資信託に投資をされます。
つまり、元本の積み上がりペースが変額保険は遅くなるのです。
この点でまず、NISA口座などに同じ金額投資するケースと比べると元本の差が生まれていきます。
投資対象銘柄の品ぞろえ
NISA(つみたて投資枠)対象の投資信託は約280本以上あり、SBI証券や楽天証券などではそのほとんどを選択肢として検討することができるようになっています。
一方、変額保険は投資対象となる投資信託のラインナップを保険会社が決めており、商品にもよりますがそのラインナップは7~15本程度のものが多いです。
そのラインナップされている投資信託よりもさらに成績のよい銘柄が証券会社や銀行で売られていたとしても、変額保険で選べる投資先は保険会社の決めたラインナップの範囲内でのみなので、NISAで選べる銘柄に比べると運用成績が劣るラインナップから選ばざるを得ない商品もあります。
保有期間中や受取時のコストの違い
投資信託と変額保険では、運用期間中に発生するコストにも大きな違いがあります。
投資信託も変額保険も投資期間中は信託報酬というコストを払うことは共通していますが、このコストとは別に、変額保険にはそれ以外のコストも毎月発生します。
毎月コストが差し引かれる、ということはそれだけ将来受け取れる利益も削られることになるので、『増やす』ということが目的なのであれば、できるだけコストのかからない金融商品を選ぶべきなので、変額保険よりも投資信託のほうが資産を増やすことには向いているのです。
受け取り時の手数料の違い
投資信託と変額保険は、出口でも違いがあります。
投資信託は、売却をした後の利益を引き出す際、ほとんどのネット銀行やネット証券で手数料無料となっています。しかも、NISA口座で購入していた場合、利益も非課税となるので、売却して確定した利益や元本はすべて自由に使うことができます。
それに対して変額保険は、商品によっては受け取り時に毎回手数料がかかるケースがあるので、契約時によく確認する必要があります。
特に、変額個人年金保険を年金形式で受け取る際には手数料が毎回400円かかる商品が多いです。また、変額保険は保険料を支払った人と、保険金を受け取る人が同一人物の場合、所得税がかかります。この点でも、税金が全くかからないNISAと比べるとデメリットですね。
そのほかにも、投資信託と変額保険の違いについてこちらの記事で解説しているので、ぜひ読んでみてください。
受取時の税金の違い
NISA口座で投資した投資信託の利益は全額非課税で受け取ることができます。
一方、変額保険は自身が保険料を払い込み、受け取りも自身だった場合には所得税がかかりますので、税金面からも変額保険よりNISAで投資信託をした方がお得です。
他にも2つの違いはいくつかありますが、以上の点だけ見ても、変額保険で投資信託に投資をするよりも、NISAで投資信託に投資をした方がいいですよ。
NISA口座開設におすすめの金融機関
NISAに興味が出てきたら、実際にどこの金融機関に口座を開設するか決めましょう。
NISA口座は1人1口座しか作ることができません。
毎年10月~12月の間に金融機関を変更することもできますが、手続きに時間がかかったり、投資銘柄を選びなおしたりしなければいけなくなるので、できるだけ変更しなくても済むように、最初にしっかり考えて決めるといいですよ。
NISA口座を開設する金融機関の決め手は大きく分けると2つです。
店舗型とネット型、どちらがいいか
金融機関は店舗を構えて窓口営業をしている店舗型と、ネット専業の会社があります。
担当者がいたほうが何か困ったときにすぐ聞ける人がいて安心だという人は、銀行窓口や証券会社の窓口で口座開設するといいでしょう。
担当者の知見や労力を借りることになるため、ネット型に比べると手数料は高くなりますが、自分で調べたり手続きをする手間を省けることにメリットを感じる方には向いています。
ただし、営業の電話がかかってきたり、商品の提案のために自宅を訪問されることもあるので、それが嫌な人には向いていません。また、担当者が必ずしもいい商品を提案してくれるとは限らないので、ある程度自分自身も金融商品の知識を持ったうえで相談に行くのがおすすめです。
それに対して、ネット銀行やネット証券は、自分の手でSNSやインターネットから情報収集ができ、買付の設定なども調べたりしながら自分でできそうという方は、ネット型の金融機関に口座開設するのがおすすめです。
最近はSNSで気軽に質問しあえる雰囲気もあるし、色んな投資ブログも増えて調べればだいたいのことはわかるようになっているので、ネット型で開設している方も多いです。
ネット銀行やネット証券は、店舗コスト等が削減されている分、手数料が無料だったり、業界最安値の水準で、投資先の銘柄も豊富にそろえているので、おすすめはネット型です。
【店舗型のメリット】
・商品を提案してくれる
・買付や売却などを代わりにやってもらえる
・知りたい情報があれば代わりに収集してくれる
・疑問や不安、質問などをすぐに相談できる担当がいる
【店舗型のデメリット】
・手数料が高い
・投資商品や保険の営業などがある
・土日祝日が休みなので相談できる時間が限られる
・商品の品揃えがネット型よりも少ない
【ネット型のメリット】
・手数料が業界最安値や無料
・商品の種類が豊富に揃っている
・24時間いつでも設定などができる
(積立額の減額や停止もすぐにできる)
・スクリーニング機能などが充実している
【ネット型のデメリット】
・すべて自分で調べたり設定する必要がある
・相談できる人を探すのが大変
銀行と証券会社、どちらがいいか
続いて、金融機関には、銀行と証券会社があります。
どちらにNISA口座を開設すればいいかというと、おすすめは証券会社です。
なぜなら、銀行はNISA口座で買える商品のうち、投資信託しか購入できないからです。
この表のとおり、銀行では株式とETFを取り扱っていないため、投資信託に慣れてきて、株式やETFで配当収入ももらえるようになりたいな、と思ってもそれらにNISAで投資をすることはできません。
そこから証券会社にNISA口座を移管する手続きを行うこともできますが、書類を書いたり、本人確認書類を準備したり、郵送の手続きなどは面倒なので、将来、株やETFもやりたくなるかもしれない、と思う方は最初から証券会社に口座を開設するのがおすすめです。
どうですか?
店舗型とネット型、銀行と証券、それぞれどちらを選択するか決まりましたか?
迷う場合は、投資家たちの間でも特に人気のネット専業の証券会社であるSBI証券か楽天証券がおすすめです。
まずは、ここまでで一旦NISA口座の開設を行いましょう。
口座開設の申請後は、だいたい1週間~10日ほどで金融機関からログインIDとパスワードの記載された書類が自宅に届きます。
ログイン情報が届けば、いよいよ実際に投資信託の買い付けをすることができるようになるので、それまでの間に次の投資額の決定と、投資銘柄を選んでおきましょう。
投資額の決め方
いざNISAで投資をしてみたいと思っても、実際に自分はいくら投資をすればいいのか迷いますよね。これは個人個人の家計状況や目的によって変わるので、ひとつの決め方をご紹介します。
NISAで投資信託に投資をする目的の多くは、老後資金や教育資金の備えです。
老後資金なら2000万円前後、教育資金なら300~500万円程度を目標額にし、あとは現在の年齢から積み立てできる年数を逆算します。
他にも、人によっては住宅の購入費を目標にしていたり、FIREを目標にしてゴール金額を決めている人もいますね。
目標額と積み立てできる年数がわかったら、みらい電卓の『毎月いくら積み立てる?』でシュミレーションをしてみましょう。このとき、想定利回りは3~5%くらいで試算をしてみてください。
シュミレーション結果の金額を見て、家計負担に無理がないようであればその金額をそのまま積立額にするのがおすすめです。
もちろん、それ以上の金額を積み立ててもいいです。
もし、シュミレーション結果の金額分積み立てることが難しい場合には、毎月貯金している金額の3分の1から半分程度を投資信託への積み立てに回すことをおすすめします。
どうしても最初は投資が不安、という方は月1000円からでもいいので積み立てをする経験を積んでみましょう。だいたいみんな、積立投資をして、徐々に利益が増えていく体験をしていくと、楽しくなって自然と積立額を増やされています。
無理せず、最初は「少額でもいいから経験をまずは積んでみる」という気持ちを大切にしてくださいね。
途中で減額したり、停止したくなった場合
NISAでの投資信託の積立は、金額を変更したり、積み立てを停止したりということを自由に行うことができます。もし、ライフスタイルの変化で、積み立て額を変更したくなったり、積み立てが困難になってしまったとしても、思い立ったその日の内にネットから変更手続きを簡単に行うことができます。
逆に、積み立ての再開も簡単に行うことができるので、投資信託はライフスタイルの変化に合わせて調整しやすい便利な金融商品です。
投資先の選び方
最後に、NISA(つみたて投資枠)で投資する銘柄を決めましょう。
つみたて投資枠で投資できる投資信託の投資先は大きく分けると3つで、国内株式に投資をするタイプ、海外株式に投資をするタイプ、株や債券、不動産などいろんな商品に分散をするバランス型タイプがあります。
投資先は1本だけに絞らずに、だいたい2~3本に分散投資をしておくのがおすすめです。
それは過去の歴史を見た時に、米国株が最も資産が増えている年もあれば、日本株が最も資産を増やしている年もあるからです。
将来も米国株だけが最も多くの資産を増やしてくれる地域だという保証はなく、もしかしたらインドが世界をけん引する経済強国になっているかもしれません。
将来どこの国が一番上昇しているかなんて現時点ではだれにもわからないからこそ、投資先地域を分散することで【どこの国が上昇しても、結局資産が増える】という状態にすることができるんですね。
投資信託の取り扱い一覧を確認する
では、例えばS&P500インデックスに投資をしたいと思ったら、ご自身がNISA口座を開設した金融機関のラインナップを調べてみましょう。
例えば、SBI証券であれば、キーワード検索でS&P500インデックスに投資をするタイプを絞り込むことができます。
S&P500、日経225、全世界などで検索をするといいですよ💡
例として『S&P500』で検索をしてみると、米国の500社の株に分散投資をするタイプの投資信託を、10社の運用会社が販売していることがわかります。
eMAXIS Slim
たわらノーロード
iシェアーズ
iFree
Funds-i
などは各社のブランド名のことで、ブランド名が違っても、投資先は全てS&P500指数を構成する米国500社という点では同じなので、10社の運用成績にそこまで大きな差は生まれません。でも全く同じ、というわけではなく、運用する人の能力やAIシステムの性能が各社それぞれに違うので、ほんのちょっと運用成績に違いがあります。
わたしたち投資家が行う銘柄選びは、その微妙に違う成績の中から、どこの運用会社の商品が一番資産を増やしてくれそうかな?を比較して見つける作業です。
投資信託だと小難しく感じるかもしれないので、もう少しわかりやすくビールメーカーに例えて見ますね。
ビール会社にも各社ブランドがあり、『発泡酒』というカテゴリーで各社アサヒスタイルフリーやキリン淡麗グリーンラベル、サッポロ極ゼロなど似た商品を出しています。
でも、同じ『発泡酒』でも会社によって微妙に味は違いますよね。
投資信託も同じで、投資先は同じであっても運用会社によって成績は微妙に違うのです。
じゃあ、どうやって似た投資先同士の中から一番成績のいい銘柄を見つけるかというと、最終的には信託報酬という手数料と、騰落率で比較して決めます。
信託報酬の低い順に並べ替える
信託報酬というのは、投資信託にかかわる3つの会社に支払う手数料のことです。
わたしたちの代わりに運用をしてくれたり、資金を管理してくれてありがとう!というお礼の報酬なので、適切な報酬を支払う必要があります。
ただ、この手数料が高すぎると、その分投資家の利益は少なくなってしまうので、できるだけ信託報酬の低い銘柄を選ぶことが、資産が増えやすい銘柄を探すための大事なポイントになります。
先ほど、キーワード検索で『S&P500』で絞り込み、10社のリストが出てきましたね。
この10社を今度は、信託報酬の低い順に並べ直します。
リスト上の『手数料等費用』を押して、信託報酬の『▲』を押せば、簡単に低い順に並べ替えられますよ。これを見て、信託報酬の低いものが最終の比較候補になります。
ここまで絞り込んだら、最後は騰落率で投資先銘柄を1つに決めていきます。
騰落率を比較する
騰落率というのは、投資信託の価値が、ある期間の始めと終わりとでどれだけ変化したかを表す数字で、銘柄名をクリックして商品の詳細ページに行くと中ごろに掲載されています。
だいたい1年や3年の成績を見ればOKですが、発売されて間もない商品などは、まだ成績が3か月とか6カ月までしかデータが出ていないケースもあるので、その場合は6カ月同士の数字を比較して下さい。
先ほどの最終候補5社の騰落率をそれぞれ比較して見ると、三菱UFJのeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が最も運用成績が良いことが分かりますね。
なので、投資先にS&P500インデックスを選ぶなら、三菱の銘柄を選択するのがよさそうだ、という結論になりました。
このように、各社から出ている、同じ投資対象同士の銘柄で信託報酬や騰落率を比較することで、最適な投資先をあぶりだすことが簡単にできます。
同じように、キーワード検索で『全世界』とか『日経225』とかで絞り込んで比較分析をしてみてください。
銘柄が決まったら積立の設定
投資する銘柄が決まったら、あとは積立設定をするだけです!
投資したい銘柄のページに行って『積立買付』のボタンから積立投資の注文を行います。
投資信託は買付の設定が終われば、あとは何もしなくても勝手に買付・運用が自動でされ続ける商品なので、特に何もすることはなくなります。
銘柄を選んで、注文を出すところまでは大変かもしれませんが、頑張ってくださいね!